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スーパーシティ法案とは?可決までの流れと反対理由をわかりやすく解説します

スーパーシティ法案

2020年5月27日、スーパーシティの実現を見据えた「国家戦略特区法」、通称「スーパーシティ法」が、参院本会議で可決されました。
これにより、日本のさまざまな地域でスーパーシティ誕生に向けた動きが加速化していくと考えられます。
ただ、スーパーシティの意味や目的がよく分からず、「反対意見もあるようだが」と不安になっている人は多いでしょう。
この記事では、スーパーシティ法案の概要や、法案が可決された背景、反対派の主張などを解説していきます。

 

スーパーシティ法案とは?重要なポイントを知って深く理解しよう

スーパーシティ法案とは、正式名称を「国家戦略特別区域法の一部を改正する法律案」という、規制改革制度です。
より柔軟で迅速な規制緩和や特例措置が設定できるように、従来まで規制特例の設定に使われていた「国家戦略特別区域法」を大幅に改定しました。
スーパーシティ法案を理解するには、スーパーシティ構想と国家戦略特別区が何かを把握することが大切です。
まずスーパーシティ構想とはどのような構想を指すのでしょうか。

海外ではIT技術をふんだんに利用し、新産業やイノベーションを創出しているスマートシティが登場しています。
これらを日本に取り入れ、第四次産業革命をリードできる最先端都市を作り上げることを目指し、内閣府が打ち出しものがスーパーシティ構想です。
しかし、日本にはスーパーシティ構想に必要な要素や技術はあるものの、構想を実施する場所がありませんでした。
そこで、スーパーシティ構想を実現するために、これまで規制緩和や特例措置の設定に使われていた「国家戦略特別区域法」に政府は着目しました。

国家戦略特別区域とは、地域振興と国際競争力の向上を目的とした経済特区のことで、一般的には国家戦略特区と呼ばれています。
目的は「世界で一番ビジネスをしやすい環境」を作り上げることで、第2次安倍内閣では国家戦略特区を設けることが国家の成長戦略の柱とされています。
国家戦略特区では「解雇ルール」「労働時間法制」「有期雇用制度」の3点の雇用ルールの見直しが図られました。
しかし、未来的な都市設計には従来的な岩盤規制の突破を目指した規制緩和だけでは法整備が足りません。

そのため政府は「国家戦略特別区域法」を改正することでスーパーシティ構想の実現を可能にしました。
これがスーパーシティ法案です。
スーパーシティ法案では「国家戦略特別区域法」に、新たな特定事業と特例措置が追加されています。
加えて、産業技術の有効性の実証による道路や車両の利用を可能とし、ビッグデータや人工知能(AI)などが活用される都市を想定して、国や地方公共団体のデータ提供について改定が行われました。

スーパーシティ法案は従来までの「国家戦略特別区域法」とどの点で異なるのでしょうか。
スーパーシティ法案には理解しておくべき3つのポイントがあります。

まず第1に重要なポイントは、スーパーシティ法案では、複数にわたる分野を一体的に改革するための設定ができます。

第2のポイントは、ビッグデータの取扱などが予想されるため、地方公共団体や国が保持するデータを、データ連携基盤整備事業者への提供が可能になったことです。

またスーパーシティ法案では「データ連携基盤」を構築することで、データ提供者とデータを利用するサービスをスムーズに結びつけることが予定されています。
しかし、このようなデータのやり取りや、複数の項目をまたぐ規制緩和が、住民の許諾を得ずになされるのは好ましいことではありません。
そこでスーパーシティ法案では、今までの「国家戦略特別区域法」とは異なり、区域計画では、自治体議会での承認と住民の合意が前提となっています。
これが第3の重要なポイントです。

規制特例が行われる場合には、地方事務に係る政省令では当該地方自治体の条例の制定が必要です。
国の事務の分権やその他の規制特例では、特区諮問会議での審議が求められます。
それだけでなく関係省庁の大臣への勧告など、規制特例案を折衝する手続きも定められています。

これらのことから、スーパーシティ法案は従来の国家戦略特区よりも進んだ規制緩和であると同時に、当事者となるものの考えを尊重できる制度設計がなされているといえるでしょう。

 

スーパーシティ法案が可決された流れ

日本でスーパーシティ構想が注目されるようになった背景には、さまざまな出来事が絡んでいます。
まず、ヨーロッパ諸国や中国でスーパーシティが実現しつつあることで、日本政府も本格的に検討を始めました。
例えば、中国の杭州市では街中の監視カメラが異常を認めた場合、自動で警察に通報するシステムが導入されています。
スペインのバルセロナでは、自動車のシステムが空いている駐車場へとドライバーを誘導する仕組みが実用化されました。
これらのテクノロジーは治安維持、観光客誘致、などに大きく役立っています。
その他、海外諸国でキャッシュレス化が進んでいる現状も、日本政府に刺激を与えたといえるでしょう。

そして、2019年には国家戦略特別区域法の一部を改正する形で、政府は通称・スーパーシティ法案を提出しようと考えました。
しかし、2019年内で2回にわたり、廃案となってしまいます。
法規制について「上書き可能」とする内容があったため、内閣法制局が難色を示したからです。
そして、法案の策定作業をやり直した上で、2020年5月27日の可決を迎えることとなりました。

可決の後押しとなったのが、2025年に開催が決定している大阪万博です。
人類の進歩と発展を世界に向けて広く伝える祭典に向けて、日本国内でも未来都市を誕生させようという意見が多くなっていきました。
また、「地域格差」「少子高齢化問題」といった深刻なテーマを解決する手段になりえる点も無視できません。
日本では東京、大阪といった一部の都市に人口や産業が集中して、地方の過疎化が進んでいます。
スーパーシティが地方に実現すれば、地方創生に大きく役立つ可能性も出てきます。

それに、少子高齢化で働き手が少なくなっていく時代では、労働人口の確保を真剣に検討しなければなりません。
AIやロボットが担う領域を増やし、人手が少なくても社会をまわしていけるシステムを作らなければ経済発展が難しくなってしまうでしょう。

スーパーシティ構想におけるほとんどの内容が、介護や福祉、交通など、住民の生活に根差した取り組みであったことも世論が味方した要因です。
スーパーシティは、2030年頃の近未来でもたらされる生活を先行実現するプロジェクトとして、政府による経済戦略の大黒柱となる見込みです。

 

スーパーシティ法案への反対意見

全ての有識者がスーパーシティ法案を肯定的に受け取っているわけではありません。
成立までの流れでは、強い反対意見も出ていました。
象徴的なのが、有識者懇談会における竹中平蔵氏のコメントです。
竹中氏はスーパーシティを「ミニ独立政府」と表現しました。
そして、その推進機関には独自の規制による、「強力な権限を与えること」としています。
ただ、現法案において、「独立政府」や「強力な権限」の主催者が誰なのかははっきりしていません。
一部の個人や企業の利益を生み出すため、都合よく地方を再編していく可能性もゼロではない、という視点や意見があるということです。

また、スーパーシティ構想ではビッグデータを用いたサービスが大前提となっています。
スーパーシティに住んでいる人々の個人情報が、同意なしに収集されるリスクも無視できません。
そして、本人が知らないうちに目的外利用されたり、第三社に譲渡されたりすることも起こりえるのです。
スーパーシティでは住民の同意をどのような形で取り付けるのかが非常に重要です。
それにも関わらず、法案が成立した時点で、住民の意思については具体策が設けられていない点も、反対派が根拠として挙げている部分です。

法案が可決された時期も、多くの人の反感を招きました。
2020年5月といえば、新型コロナウイルス感染拡大が深刻化しており、政府にも継続的な経済対策、補償が求められていたタイミングです。
そのような状況下で、長期的な経済戦略であるスーパーシティ法案を可決する必然性が不明であるとの意見も出ました。
野党から「それよりもコロナ対策に集中するべきではないのか」と反感を買ってしまったのです。

これらの反対意見はいずれも検証が必要だといえるでしょう。
ただ、欧米や中国のように、スマートシティによって地方経済が活性化した例があるのも事実です。
スーパーシティそのものが不必要というわけではないので、慎重に住民への理解を求めていくことが大事です。
「スーパーシティは住民の生活を良くするための構想」という点をしっかり伝え、個人情報の取り扱い、住民合意などの問題に向き合っていく姿勢が政府と行政に求められています。

 

スーパーシティ法案によって地方は変わる!重要なのは住民の理解

地方創生の核として、スーパーシティは2020年5月の法案可決以降、本格的に実現されていく予定です。
ただし、住民の理解がなければプロジェクトは進みません。
政府や行政から住民に対し、真摯な説明をしていくことはこれからも重要です。
そして、スーパーシティを受け入れる側も建設的な視点で、メリットを理解していきましょう。

 

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