1. article
  2. article
  3. 片山さつきさんにお聞きする、スーパーシティを目指すにあたり、大切なこと

Special Interview

片山さつきさんにお聞きする、スーパーシティを目指すにあたり、大切なこと

interview_片山さつき様

今回は片山さんをお招きし、自分たちの地域でスーパーシティを目指す場合に重要なことなどをお聞きさせていただきました。
「地域」という括りや、スーパーシティを目指す上でのマイルストーンなど、記事をご覧の皆さまの業務のヒントになるような内容をお届けしたいと思います。

 

スーパーシティを地域で目指すということ

まず最初に、「地域」というキーワードについてお伺いさせていただきます。
全国の市区町村がスーパーシティを目指す際、人口や予算の関係もあり、
「どこでもスーパーシティを目指せるわけではないのではないか?」
と思っている方も多いかと思います。
そういった場合、一つの市区町村でスーパーシティを目指すというのではなく、市区町村の壁を越え、どんな連携をしてスーパーシティへの取り組みをしていけば良いのでしょうか?

[片山さん]
今行われているスーパーシティ公募に応募されている中では、自治体の一部で応募されるというところもありますし、県と県内のどこかの市町村が一緒に出てくるというところもあります。

後者は、県が県内の小さめな市町村をある程度支えなければいけないような場合があり、「生き残りの為には一緒になってデジタルを使わなきゃ駄目」というふうに考え、応募されるパターンもあります。

私が認識している限り一番小さい自治体は、北海道の更別村です。
更別村は人口が約3000人ですけれども、ここは単独で手を挙げられていて、北海道庁さんが応援していらっしゃいますね。

なるほど。
ちなみに、一緒に連携する都市などはどのように決まっていくケースが多いのでしょうか?

[片山さん]
兵庫県は淡路と一緒にやっていますが、今回出されるかどうかは別として、震災の後も含めてずっと淡路の開発を一緒にやっていた。
つまり県との連携がもともとあったのだと思います。

神奈川県と鎌倉市もSDGsとか一緒にやっていますよね。
もちろん、その県と市、どこでも一応連携はしているわけですけど、連携がより密になっている都市には共通の目的があり、その目的達成の為に政策を進めていて、市民もそれを支持しているということがポイントかな、と思います。

それと、エリアや地域をまたいで、要するに自治体の壁を越えて活動されているのは、京都府中心になっている「けいはんな学研都市」ですね。
京都府からは、精華町、木津川市、京田辺市。
大阪府からは、枚方市、四條畷市(しじょうなわてし)、交野市。
奈良県からは、奈良市、生駒市。
これらの地域は、けいはんな学研都市ができる時から連携していて、ロボットの大会なども行っていたりしますね。

けいはんな学研都市はもともとの連携があり、また一緒に取り組むという感じなのでしょうか?

[片山さん]
そうですね、あと和歌山県とすさみ町とか、大阪府と大阪市とか、茨城県とつくば市の協力とか。その他も聞いています。愛知県の幸田町と隣接市とかは防災で協力していますね。

 

スーパーシティを作り上げる為のステップ

少し現場目線の質問になるのですが、自分たちの自治体でスーパーシティを目指そうとなったときに、スーパーシティを作り上げる為のステップとして、どのような取り組みをしていけば良いのでしょうか?

[片山さん]
今はちょうど良いタイミングで、菅政権がDX化を掲げ、2026年3月までにベース・レジストリという基本のデータを全部DX化し、手続きもDX化すると。
要するにデジタルガバメントに地方政府もなるということになりましたから、まずそれを市民の皆様にきちんと説明し、DX化するのであればついでに「うちの自治体はどこをもっと便利にしたらいいですか?」というのをアンケートされたら良いと思います。

それと、現在の自治体にはいないであろう、データサイエンティストの採用も大切ですよね。
専門知識がないと、取得したデータを市民の生活の向上にどう結びつけることができるのか、どんなアプリやシステムを作るべきなのかがわからないと思うんですよ。

今DXに興味を持っている自治体というのは、そこの知事や市長が、元々デジタル系の会社にいたことがある人たちだったりするので、土地勘があるから理解や話が早いんですよね。
そういう人たちは自信を持ってこのアプリ開発を進めていけるんだけれど、完全文系だけだと難しい場合が多いので、そういった際、データサイエンティストをアドバイス要員として、あるいは中に入って一緒にやってくれるメンバーとして参加してもらうのが良いのではないかと思います。

そうすれば、
「このような問題解決には、こういったアプリやシステムを作りましょう」
「開発予算がなかったら、スーパーシティ構想(自治体アイディア)に応募しましょう」と。
そういう判断がつきやすいかと思いますね。

そこで言うと、片山さんの書籍「スーパーシティ」に書いてある、《アーキテクトを探してくる》というところにも繋がってくる部分かと思うのですが、今現在、スーパーシティに取り組んでいる自治体や地域で、アーキテクトやデータサイエンティストがいらっしゃる地域っていうのはあるのでしょうか?

[片山さん]
早くからという意味では、会津若松がありますね。
震災の後の復興からやっているので、連携期間は長いのですが、初めからアクセンチュアさんが中心となって都市作りをやっています。

自分たちの自治体に合いそうなアーキテクトを探す、何かコツのようなものなどはあるのでしょうか?

[片山さん]
今は、内閣府がやっているスーパーシティ・オープンラボがありますが、あそこに登録した会社を自治体からアクセスをしたり、依頼したりしている例も多いですね。

 

スーパーシティを目指す上で必要な、リーダーシップやコミュニケーションとは?

ありがとうございます。
片山さんは著書の中で、「現在はSociety5.0に向けて実装段階に移行しているところ」というふうにおっしゃっておりましたが、いわゆる現場に求める、もしくは求められるリーダーシップやコミュニケーションというのは片山さん的にどのようなものを期待されてらっしゃいますでしょうか?

[片山さん]
やっぱりコミュニケーションは「わかりやすいこと」、「多くの市民にアクセスすること」が望ましいですよね。
情報発信をYouTubeでやっている市長さんもいらっしゃいますし。
それと、ITリテラシーを市民の中に根づかせていこうっていう努力も必要になるんですよ、デジタルガバメントに移行するので。
ですので、みんな頭が痛いことだけれど、「やらなきゃいけないのであれば早くやろう!」という意識を持って行動してもらえることを期待しますね。

なるほど、ありがとうございます。
もう一つ、スーパーシティへの取り組みで、上手くいく要素というのは、どういった部分にあるのでしょうか?

[片山さん]
やっぱり市長の頑張りなどは大きいですよね。
例えば、石川の加賀市。
加賀市は昔、社員旅行向けの温泉街だったのですが、観光収益などがググッと減ったんですよね。
収益が下がった市を経営していかなきゃいけない中で、病院なんかもある程度縦系列を決めて、病院と診療所の連携がスムーズにいくような社会を作ったり、それからマイナンバーを取るときに商品券とセットにしたら6割取っちゃったり。
これってやっぱり工夫とリーダーの頑張りですよね。
それと、首長さんの政治姿勢にもよりますが、攻めの政策をやっていくかどうかというのも、大切な要素ですよね。
一つ成功するとみんなが周りから集まってきて、その町にスーパーシティを視察に来るので、向こう10年は視察客が途絶えないと。
そういう良い効果もありますから、そこを狙って攻めの政策を行うかどうかっていうのはあると思いますね。

現場の方の市長や首長のリーダーシップというのはもの凄く大事ですよね。
逆に、ボトムアップ型で若い自治体職員の方々は、どういった行動をしていけば良いのでしょうか?

[片山さん]
職員さんたちは、非常に使いにくいシステムにうんざりしていると思うんですよ。
マイナンバーの用途についても、その提言を全部ボトムアップであげちゃえばいいと思いますね。
それを市長がしっかりと確認し、規制緩和に繋げる。
そういったものがスーパーシティに繋がっていくことになるので、そうすると提言した若手もさらにやる気が出ますよね。

あと、今後はどんどん人手が少なくなっていくので、IT化して合理化してやっていかなきゃ無理だ、というふうにみんな思っていますから、そういった部分もどんどん上に提案して改革をしていくべきだと思います。

それから日本の場合は47都道府県に国公立大学があって全部理系の学部があるので、この人たちを遊ばせておく手はないのではないでしょうか。
私は自民党のデジタル本部の役員(人材小委員長)も務めているのですが、私のやっている委員会で滋賀大学と横浜市立大学のお話も聞きました。
結構有名な都会の私立よりもDXやっていたりするので、大学などを巻き込んで、「うちの町をスーパーシティにするには」のような提案を作ってもらったりするのも良いかと思います。
DXに関しては、若い人の方がリテラシーが高いことが多いので、そういった部分はボトムアップで提案しやすいのではないでしょうか?

 

片山さんからのメッセージ

ありがとうございます。
最後に、自治体の職員の方や首長に向けて、片山さんからのメッセージをいただけますでしょうか?

[片山さん]
これからは地域が飛び抜けたことができる時代だと思うんですよ。
地方創生に取り組み出して6年目ですが、みんなが自分のプランを作って、みんなが自分なりの未来を描いていくという癖がやっとついてきたと思うんですね。
DX化を進めると、その国ではおよびもつかないようなことが自治体のあるエリアでできちゃうんですよ。

つまり、今まで後進国だと思っていたところが、携帯やスマホが入ったことによって日本の一部よりも便利なサービスを受けているということが世界で起きています。
日本は固定電話で世界一の国だったわけですが、それと同じようなことが国の中で生じます。
東京の一部よりも、スーパーシティになったあの市は便利になっているっていうことが十分可能ですから、地方から日本の未来を底上げしてやる!くらいのおつもりで頑張っていただきたいと思います。
そしてそれは可能です。

 

———————————————————

【 Facebookでも情報を更新中! 】
「ジチタイムズ」の最新記事や、自治体にまつわる様々な情報を発信しています。

Facebookをチェックする

———————————————————

Special Interview

特集